白山中居神社
岐阜県郡上市白鳥町石徹白字上在所
■神の村にある黄泉の国とこの世を塞ぐ霊石
黄泉の国とこの世をさえぎる「千引岩」が存
在する神社がある。が、出雲ではない。美濃国の
石徹白にある白山中居神社のことだ。かつては
越前国に属していた。白山信仰の拠点となった聖
地であり、白山三馬場の一つ、美濃禅定道の中
継地となったところだ。禅定道とは、登山道のこ
とで、馬場とは登山道の起点をいう。美濃国は郡
上市白鳥の長滝白山神社が馬場となっていた。白
山は、加賀・越前・美濃にまたがる御前峰、大汝峰 、
別山を総称してよんでいる。古くは、シラヤマと
よばれた。ほぼ年間を通して雪をいただく「白い山」
をあらわしたものであることはいうまでもない。
山容は優しく、色白の女体が横たわるような姿を
している。祭神をシラヤマヒメ、
または、ククリヒメとするわけもそこにある。
(『磐座百選』より一部抜粋)
伊奈波神社旧跡
岐阜県岐阜市赤ヶ洞丸山
■社殿を移しても移せなかった烏帽子岩
由緒によると、「主祭神は、景行天皇の兄・五十瓊敷入彦
命で、武勇にすぐれ、大和丹波の神宝を管理していたが、
その職をほかの命に譲り、
晩年稲葉山麓の丸山に居住された」とあるので、
烏帽子岩があるあたりをさすのだろうか。こうし
た伝説が生まれるのも、丸山に烏帽子岩が存在し、
聖地として信仰されていたからにちがいない。
さらにいえば、稲葉山全体が神体山であり、信
仰の対象として崇められていたと思われる。事実、
山頂の天主近くには巨大な岩塊が露出している。
天主の石垣は、この岩塊を避けるようにつくられ
ているのだ。『伊奈波神社略誌』には、「峯本宮」
が山頂にあったことが記されている。
(『磐座百選』より一部抜粋)